第９回　マウスに反応するキャラクターを作ろう

ゲームでは、マウスを使ってキャラクターを操作することが少なくありません。

（学習目標）マウスを使ってキャラクターを操作するプログラムの書き方をマスターする。

９−１　マウス操作に反応する命令 Sub…End Sub

マウスには次のような機能があります。

（１） クリック

（２） ダブルクリック

（３） ドラッグ（ドラッグ開始、とドラッグ終了がある）

これらの機能を使うには、Sub…End Sub という命令を使います。

プログラムの形は、今まで習ってきたプログラム（メインプログラムと呼びます）に、マウスを操作した時のプログラムを並べて書きます。メインプログラムは最初に動き出し（実行され）、メインプログラムの終わりまで進んでお休みしています。その状態で、マウスを操作（クリック、ダブルクリック、ドラッグ）すると、それぞれの操作に対応したSub…End Sub部が実行されます。

（注意）今まで、配列の宣言にDimを使っていましたが、メインとSub…End Subの両方で使う変数は、配列同様プログラムの始めの方で“Dim 変数名”という風に宣言しましょう（参照g26.vbs）。

先ずは、マーリンをクリックすると手を振るプログラムを示します。

プログラムの上半分は、マーリンを登場させ“僕をクリックして”と言わせる部分です。後半は、マウスをクリックした時のプログラムで、Sub….End Subの中にプログラムを書きます。上の例ではMerlin.Play "Wave"で手を振らせます。

ダブルクリックで動作させるには、Subを次のように書きます。

Sub Merlin_DblClick(CharID,Button,Shift,X,Y)

ドラッグの場合は、ドラッグ開始で動くプログラムと、ドラッグ終了時に動くプログラムを書くことができます。

（ドラッグ開始時）

Sub Merlin_DragStart(CharID,Button,Shift,X,Y)

（ドラッグ終了時）

Sub Merlin_DragComplete(CharID,Button,Shift,X,Y)

マウス操作の右側の（）内のうち意味があるのはマウスを操作した位置XとYです（横方向がX、縦方向がY）。それ以外（CharID,Button,Shift）は、おまじないということで、その通り書いてください。

もちろん、マーリン以外のキャラクターを操作したい時は、Merlinを他の名前（例えばPeedy）に代えればＯＫです。

９−１　色々な機能を使ったマウス操作

ここで少し新しい機能を紹介しながら説明していきます。

（１）時間関連

VBSでは日付、時刻、時間、等を教えてくれる命令があります。

Data：今日の日付

Time：現在の時刻

さらに、現在の時刻の分“分”を知りたければ、Minute(Time)、“秒”を知りたければSecond(Time)とします。これにより、ゲームの時間計測ができます。

（例題）クリックすると、時刻を教えてくれるプログラム

‘===プログラム９．１

Set Agent1= WScript.CreateObject("Agent.Control.1", "Merlin_")

Agent1.Connected= True

Agent1.Characters.Load "Merlin","Merlin.acs"

Set Merlin= Agent1.Characters("Merlin")

Merlin.Show

'ここから下がプログラム本体

Merlin.Speak "僕をダブルクリックして"

MsgBox "終わり"

Sub Merlin_DblClick(CharID,Button,Shift, X, Y)

Merlin.Speak "いまの時刻は" & Time

End Sub

‘===

（例題）クリックするまでの時間の計測

‘===プログラム９．２

Set Agent1= WScript.CreateObject("Agent.Control.1", "Merlin_")

Agent1.Connected= True

Agent1.Characters.Load "Merlin","Merlin.acs"

Set Merlin= Agent1.Characters("Merlin")

Merlin.Show

'ここから下がプログラム本体

hajime= Second(Time)

Merlin.Speak "僕をクリックして、クリックするまでの秒を言います"

MsgBox "終わり"

Sub Merlin_Click(CharID,Button,Shift,X,Y)

ima= Second(Time)

jikan= ima - hajime

Merlin.Speak jikan

MsgBox jikan

End Sub

‘===

（２）キャラクターの大きさを変える

（例題）キャラクターはクリックで大きくなり、ダブルクリックで小さくなる

‘===プログラム９．３

Set Agent1= WScript.CreateObject("Agent.Control.1", "Merlin_")

Agent1.Connected= True

Agent1.Characters.Load "Merlin","Merlin.acs"

Set Merlin= Agent1.Characters("Merlin")

Merlin.Show

'ここから下がプログラム本体

Merlin.Speak "クリックで拡大"

MsgBox "終わり"

Sub Merlin_Click(CharID,Button,Shift, X, Y)

Merlin.Width= Merlin.Width *2

Merlin.Height= Merlin.Height *2

Merlin.Balloon.FontSize= Merlin.Balloon.FontSize *2

Merlin.Speak "おおきくなったでしょう"

End Sub

‘===

（４） ドラッグと位置XYの利用

マウス操作のSub…End Subの中では、マウスを操作した位置がXとY（横方向X、縦方向Y）に自動的に書かれています。

（例題）マーリンをドラッグして動かしも、マーリンは元の場所にもどります。

‘===プログラム９．４

Set Agent1= WScript.CreateObject("Agent.Control.1", "Merlin_")

Agent1.Connected= True

Agent1.Characters.Load "Merlin","Merlin.acs"

Set Merlin= Agent1.Characters("Merlin")

Merlin.Show

'ここから下がプログラム本体

Merlin.Speak "僕をドラッグしてみて"

MsgBox "終わり"

Sub Merlin_DragStart(CharID,Button,Shift, X, Y)

aX= X

aY= Y

End Sub

Sub Merlin_DragComplete(CharID,Button,Shift, X, Y)

Merlin.MoveTo aX,aY

Merlin.Speak "ここがすきなの！"

End Sub

（おまけ）これはマウスと関係ないんですが、

何もすることが無い時はMerlin.IdleOn= Trueとすると、

Sub MyAgent_IdleStart(CharacterID)…End Subが実行されます。

（例題）何もしない時の繰り返し

‘===プログラム９．５

Set Merlin= Agent1.Characters("Merlin")

Merlin.Show

'ここから下がプログラム本体

Merlin.IdleOn= True

Merlin.Speak "暇なので、適当に動きます。でもＷクリックで時刻も教えます"

MsgBox "終わり"

Sub Merlin_IdleStart(CharacterID)

aX= Rnd *1024

aY= Rand*768

Merlin.MoveTo aX,aY

End Sub

Sub Merlin_DblClick(CharID,Button,Shift, X, Y)

Merlin.Speak "いまの時刻は" & Time

End Sub